育休中の副業では、「いくらまで」という金額よりも、1か月ごとの区切りで働く日を10日以下(超えるなら80時間以下)に収めることが大切です。
これが、育児休業給付金を受け取り続けるための基本の目安になります。
「赤ちゃんが寝ているあいだに、少しでも家計の足しにしたいな」
「でも、副業のせいで給付金が止まったら意味がないし…」
育休中にスマホで検索しながら、こんなふうに気持ちが行ったり来たりすること、ありますよね。

ビジネス学園のメンバーからも、育休に入ったタイミングで「今のうちに何か始めたい」という相談をよく受けます。
ただ、このルールには見落とされやすいポイントがあるんです。
勤め先以外で働いた日も日数に入りますし、「1か月」はカレンダーの月と一致するとは限りません。
後半では、私自身がもうけ話で30万円を失った経験と、そこから分かった見分け方も書いています。
- 育休中の副業で給付金が減らない範囲(10日・80時間・80%の3つの数字)
- 業務委託や自営の収入について、事前に確認しておきたいこと
- 育休中でも取り組みやすい在宅の副業と、作業記録のつけ方
- 育休中の人が狙われやすいもうけ話の見分け方
育休中の副業はいくらまで?給付金が減らない範囲の考え方

冒頭で「いくらまでなら大丈夫?」とお聞きしましたが、給付金のルールは金額の上限を決めているわけではないんです。
見られているのは、主に「何日働いたか」「何時間働いたか」「勤め先からいくら払われたか」の3つです。
基準は金額ではなく「働いた日数と時間」です
育児休業給付金をもらうための条件のひとつが、1か月ごとの区切りの中で働く日数と時間です。
厚生労働省のQ&Aでは、次のように整理されています。
1支給単位期間(休業開始日から1か月ごとの期間)中に就業した日数が10日以下、10日を超える場合は就業した時間が80時間以下であることが要件です。この日数・時間には、勤め先以外で就業した分も含まれます。
ここで大事なのは、最後の一文なんですよね。
「会社の仕事じゃないから関係ない」と考えがちなんですが、副業先で働いた日もちゃんと数に入ります。

ちなみに、ここでつい不安が大きくなるのには、心の仕組みも関係しています。
行動経済学には「損失回避」という考え方があって、同じ1万円でも、もらえる嬉しさよりなくす痛みのほうを大きく感じやすいんです。
例えば、スーパーで「100円引き」と言われるより「今日を逃すと100円損します」と言われるほうが気になる、あの感覚に近いものです。
なので、「給付金が減るかも」と聞くと、実際の条件を確かめる前に副業そのものをあきらめてしまう方も多いんですよね。
条件を数字で知っておくと、必要以上に怖がらずに済みます。
「1か月」はカレンダーの月ではなく休業開始日から数えます

見落としやすいのが、この「1か月」の数え方です。
給付金でいう1か月(支給単位期間)は、休業を始めた日から1か月ごとに区切ります。
例えば5月10日から育休に入った場合、最初の区切りは5月10日から6月9日までです。
そうすると、「5月は8日しか働いていないから大丈夫」と月ごとに数えていても、区切り方によっては10日を超えていた、ということが起こりえます。
自分の休業開始日を手帳やスマホのカレンダーにメモしておくと、区切りを間違えにくくなります。
勤め先からお給料が出るときは「80%」がひとつの目安です
もうひとつの数字が、勤め先から支払われる賃金との関係です。
休業中に勤め先から「休業開始時賃金日額×支給日数」の80%以上の賃金が支払われた場合、その支給単位期間の給付金は支給されません。80%未満であっても、支払われた額によっては減額されることがあります。
つまり、育休前にもらっていたお給料の8割以上が勤め先から出ると、その期間の給付金は0円になります。
8割に届かなくても減額されることがあるので、勤め先で少し働く予定がある方は、事前に担当部署に計算してもらうと安心です。
給付率は180日目まで67%、181日目以降は50%です

そもそも給付金がどのくらい出るのかも、あわせて押さえておきたいところです。
育児休業給付金の支給額は、休業開始から180日目までは休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%です。
それから、令和7年4月に新しくできた「出生後休業支援給付金」という制度もあります。
要件を満たすと、最大28日分、13%が上乗せされる仕組みです(同Q&A Q40)。
副業で得られる金額と、給付金として受け取れる金額を並べてみると、どちらを優先したほうがいいかが見えやすくなります。
育休中の副業は「給付金の範囲を守ったうえでのプラスアルファ」と考えておくと、気持ちもラクになると思います。
育休中の副業で押さえておきたい3つの線引き

日数や時間の条件を守っていても、それだけで安心とは言い切れません。
育休中の副業には、ほかにも3つの線引きがあります。
育休中に「毎週○曜日に働く」「毎日2時間ずつ作業する」のように、定期的に働く形はおすすめできません。日数や時間が少なくても、育休そのものが認められなくなる可能性があります。
定期的に働くと「育休中」とは言えなくなります

育児休業は、もともと子どもの世話をするための休みです。
なので、休業中に働けるのは、あくまで臨時で一時的なものに限られています。
育児休業期間中の就労は、子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的に行うものに限られます。恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることにはなりません。
「恒常的」というのは、いつも決まって続いている状態のことです。
例えば「毎週月曜と木曜は必ず作業する」という働き方は、日数が10日以下でも定期的だと見られる可能性があります。
反対に、「今月はたまたま頼まれた記事を1本書いた」というような単発の仕事は、臨時・一時的なものに近いと言えます。

業務委託や自営の収入の扱いは、ハローワークで確かめておくと安心です

ここが、いちばん迷いやすいところかもしれません。
業務委託とは、会社に雇われるのではなく、「記事を1本書いたらいくら」のように仕事単位で引き受ける働き方のことです。
フリマアプリでの販売やブログの広告収入のような自営の収入も含めて、これらが給付金の減額計算でいう「賃金」に入るかどうかは、厚生労働省のQ&Aには書かれていません。
なので、この記事でも「大丈夫です」とも「ダメです」とも言い切ることはできないんです。

確実なのは、働く前に住所地を管轄するハローワーク(国の職業紹介と雇用保険の窓口)に確認しておくことです。
聞くときは「どんな仕事を」「月に何日くらい」「どうやって報酬を受け取るか」を具体的に伝えると、答えをもらいやすくなります。
会社の就業規則と税金も見ておきたいところです
育休中でも、会社に籍がある以上、就業規則は適用されます。
副業を禁止していたり、事前の届け出が必要だったりする会社もあるので、始める前に一度目を通しておくと、あとで気まずい思いをせずに済みます。
会社員の場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります(国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)。
ここでいう所得は、売上から必要な経費を引いたあとの金額です。

また、20万円以下でも住民税の申告は別に必要になることがあるので、お住まいの市区町村の窓口に確認しておくと安心です。
育休中でも取り組みやすい在宅の副業

ここまでの線引きをふまえると、育休中に向いているのは「単発で受けられて、自分で日数を調整できる仕事」です。
副業全体の選び方は副業おすすめランキング2026|安全に始めて失敗しないための選び方にまとめているので、この記事では、育休中という条件に合うものだけを挙げます。
単発で受けられるWEBライティング

私自身、最初の副業はWEBライターでした。
記事を書きながらWordPress(ブログを作るためのソフト)の操作を覚えたことが、そのあとの仕事にも役立っています。
WEBライティングは、「1本いくら」の単発の依頼が多いので、育休中の条件と合わせやすい仕事です。
ただ、「毎週3本を継続で」のような依頼を受けると、定期的な働き方に近づいてしまいます。

最初は1本だけ受けて、書くのにどれくらい時間がかかるかを確かめてみると、自分のペースがつかめます。
具体的な始め方は、在宅ワークの始め方|未経験・資格なしから月5万円までの現実的なルートでも紹介しています。
家にある不用品をフリマアプリで売る

子どもがいると、サイズアウトした服やもう使わないベビー用品がどんどん出てきますよね。
これをフリマアプリで売るのは、仕事というより家の片付けに近い感覚で始められます。
とはいえ、フリマアプリの売上が給付金との関係でどう扱われるかも、先ほどの自営の収入と同じくQ&Aには書かれていません。
気になる方は、ハローワークに聞くときに一緒に確認しておくと安心です。

ちなみに、私は以前せどり(安く仕入れた商品を高く売る仕事)で月50万円を売り上げていた時期があります。
ただ、せどりは仕入れや発送が毎日のように続くので、育休中の「臨時・一時的」という条件とは合わせにくいんです。
同じ「売る」でも、家にあるものを売るのと、仕入れて売るのとでは中身がまったく違うので、ここは分けて考えておきたいところです。
「稼ぐ」より「学ぶ」に時間を使うという選び方

育休中は、日数や時間の条件があるので、どうしても稼げる金額には限りがあります。
それなら、育休中は「スキルを身につける期間」と考えて、復帰後や育休明けに収入につなげるという選び方もあるんです。
例えば、ライティングの本を読んだり、ブログを一つ作ってみたり、動画編集の練習をしてみたりする時間は、お金をもらって働く時間とは性質が違います。

私も3人の子ども(双子を含みます)を育てながら仕事をしてきたので、子どもが小さい時期は思うように時間が取れないことをよく知っています。
だからこそ、焦って稼ごうとするより、少しずつ積み上げておいたことが、あとで助けになると感じています。
在宅でできる仕事の種類は、在宅でできる仕事15選|主婦が無理なく稼ぐための選び方と始め方で比べられるようにしています。
作業した日と時間をメモしておく

育休中に副業をするなら、作業した日と時間をその都度メモしておくことをおすすめします。
理由はシンプルで、あとから「この区切りで何日働いたっけ?」と思い出すのが、想像以上に難しいからです。
特に赤ちゃんとの生活は毎日がバタバタなので、数日前のことでも記憶があいまいになりがちなんですよね。
メモには「日付・作業時間・内容・報酬」の4つを書いておくと、ハローワークや勤め先に聞かれたときにもすぐ答えられます。
確定申告が必要になったときにも、そのまま使えるので一石二鳥です。

育休中の副業で避けたい「もうけ話」の見分け方

育休中は、家にいる時間が長く、スマホを見る時間も増えます。
そのぶん、SNSで「スキマ時間で稼げる」といった広告を目にする機会も多くなるんですよね。
「スマホだけで簡単に」「1日5分で」「初期費用を払えばすぐ回収できる」といった誘い文句の副業には、手を出さないのがいちばん安全です。
消費生活相談は1年で100万件を超えています
副業に限らず、お金にまつわるトラブルの相談は増え続けています。
2025年度に全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談は100.6万件で、2024年度の91.3万件から増加しています。
これは副業だけでなく、あらゆる消費トラブルを合わせた件数です。
ただ、消費者庁も「SNSなどを通じた投資や副業といった『もうけ話』にご注意ください」というページで、副業のもうけ話への注意を呼びかけています。
国民生活センターも、「スキマ時間に気軽に稼げる等とうたう副業トラブル」として、具体的な手口を紹介しています。
育休中の方にとっては、ちょうど「スキマ時間」という言葉が気になるタイミングなので、一度読んでおくと心の準備ができます。
育休中の人が狙われやすい誘い文句

育休中の人に向けたもうけ話には、よく似た言い回しが出てきます。
- 「ママでも赤ちゃんを見ながら稼げる」
- 「スマホをタップするだけ」
- 「最初にサポート費用を払えば、すぐ元が取れる」
- 「今だけの募集なので、今日中に決めて」
どれも、忙しくて時間がない人の気持ちに合わせて作られた言葉なんですよね。

マーケティング心理学を仕事にしている私から見ても、これらはとても人の心を動かしやすい言葉です。
特に「今日中に」と期限を切られると、人は落ち着いて考える前に決めてしまいやすくなります。
なので、せかされたと感じたら、それだけで一度立ち止まる理由になると思います。
私がコンサル料30万円を払って、連絡が途絶えた話

私は以前、コンサルに30万円を払ったことがあります。
ところが、支払いを済ませたあと、相手からの連絡が途絶えてしまいました。
こういうとき、人は「ここまで払ったんだから、何か意味があるはず」と考えやすくなります。

行動経済学で「サンクコスト」と呼ばれる心理です。
もう戻らないお金や時間にこだわって、次の判断を間違えてしまうことを言います。
例えば、つまらない映画でも「チケット代がもったいないから」と最後まで観てしまう、あの気持ちと同じなんですよね。
この経験があったからこそ、今は「最初に大きなお金を払わせる話」には、慎重すぎるくらいでちょうどいいと考えています。
申し込む前に確かめたいチェックリスト

育休中にもうけ話と出会ったとき、次の点を確かめると、多くの危ない話は見分けられます。
- 運営会社の名前・住所・電話番号がはっきり書かれているか
- 仕事の中身より「稼げる金額」ばかりが強調されていないか
- 働く前に、高額な費用や教材代を払わせようとしていないか
- 「今日中」「残りわずか」と決断をせかしていないか
- 家族や友人に話したとき、うまく説明できる内容か

最後の「家族や友人に説明できるか」は、意外と役に立つ確かめ方です。
口に出して説明しようとすると、「あれ、どうやって稼ぐんだっけ?」と中身のあいまいさに気づけることが多いんです。
主婦の方が副業を選ぶときの考え方は、主婦の副業|在宅で稼ぎたい初心者が最初に読む完全ガイドでも詳しくまとめています。
育休中の副業についてよくある質問
Q1. 育休中に副業をすると会社にバレますか?

住民税の金額や、給付金の申請で働いた日数を伝える場面などから、勤め先に知られることはあります。
ただ、それ以前に、就業規則で副業が禁止されていないかを確かめておくことが大切です。
隠して続けるより、最初に確認しておくほうが、復帰後も気持ちよく働けます。
Q2. 育休中の副業で確定申告は必要ですか?

会社員の場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります(国税庁 No.1900)。
20万円以下でも住民税の申告が必要になることがあるので、市区町村の窓口で確認しておくと安心です。
Q3. 育休中に少し働いた分は、給付金の申請でどう伝えますか?
給付金の申請は、勤め先を通じて行うことが多いです。
なので、勤め先の担当者に、区切りごとの働いた日数と時間を正確に伝えておく必要があります。
先ほどの作業メモがあれば、ここで迷わずに済みますよ。
Q4. フリマアプリの売上やポイ活も副業に入りますか?

家の不用品の販売やポイ活が、給付金の条件でいう「就業」や「賃金」にあたるかは、厚生労働省のQ&Aには書かれていません。
扱いが気になる場合は、ハローワークに具体的な内容を伝えて確認するのがいちばん確実です。
Q5. 育休中にYouTubeを始めてもいいですか?

私は2016年頃にYouTubeを始めましたが、登録者が1万人になったのは2018年、10万人になったのは2020年6月でした。
それくらい、YouTubeは収入になるまでに時間がかかることが多いものです。
なので、育休中は「練習として動画を作ってみる期間」と考えるくらいが、ちょうどいいかもですね…。
収益が発生するようになった場合の扱いは、ほかの自営の収入と同じくハローワークで確認しておくと安心です。
Q6. パートナー(夫)が育休中でも、同じルールですか?

育児休業給付金のルールは、ママでもパパでも同じです。
1か月ごとの区切りで10日以下(超えるなら80時間以下)という条件も、臨時・一時的な働き方に限られる点も変わりません。
ひとり親の方の働き方については、シングルマザーの仕事選び|在宅で月10万円を目指すリアルな道筋も参考になると思います。
まとめ|育休中の副業は、給付金のルールを確かめてから小さく始める

育休中の副業は、1か月ごとの区切りで10日以下(超えるなら80時間以下)、しかも臨時・一時的な範囲に収めることが基本です。
業務委託や自営の収入の扱いは、始める前にハローワークに確認しておくと、給付金の心配をせずに取り組めます。

育休は、赤ちゃんとの時間を大切にするための期間です。
焦らなくて大丈夫なので、あなたのペースで、安心できる一歩を選んでもらえたら嬉しいです。


育休中に少しずつ積み上げたことが、復帰したあとのあなたを支えてくれるはずです。

